ドイツ表現主義への第一歩

20数年前に初めてヨーロッパに渡り、最初に降り立った都市が旧西ドイツのミュンヘンでした。東京〜パリ間をフライトし、パリを見ずにそこからすぐミュンヘンまで飛んでしまいました。日本の大学に通っていた当時からドイツ表現派に思いを寄せていたので、パリのルーブル美術館より先にミュンヘンのレンバッハギャラリーやハウス デア クンストに行ってみたかったのです。ドイツ表現派に関わる情報は、日本で得られるものが大変少なく、それでも芸術集団「デア ブリュッケ(橋)」や「デア ブラウエ ライター(青騎士)」を調べて、ミュンヘンの美術館で実際の絵画を見たのでした。僅かの知識で見た作品の数々はプリミテイブな力を感じたものの、それ以上に心を揺さぶられることはありませんでした。その後ヨーロッパ滞在中にゴシックやバロック等の古典から印象派に至る全ての作品をこの眼で見てから、もう一度ミュンヘンに立ち寄った時に見た表現派は、あきらかに違って見えました。分厚い西洋美術史を、知識というより感覚で取り入れてから、改めて表現派に接すると、内なる声に耳を傾けながら真摯に取り組む作家の姿が見えて、日本で初めて表現派に接した時の新鮮さを思い出していました。

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