飯田善国「見えない彫刻」

最近急逝された現代彫刻家の飯田善国さんが出版したエッセイを、埃をはたいてパラパラ貢をめくって見ています。1977年に購入しているので、手許にあるのは初版です。自分がちょうど大学生の頃で、この本によって現代彫刻のことや海外の情報を知ったように記憶しています。初めて読んだ当時は作品の洞察力だけでなく詩情豊かな文章によって、遥か海外の憧憬が自分の中で膨らんでいました。オスカー・ココシュカに会った日の文章などは自分勝手なイメージを作って、ひたすら憧れていました。詩人エズラ・パウンドも同じ。ただここで初めてエズラ・パウンドなる人物を知ったのですが。自分もやがてウィーンで暮らし始めることになったので、生前に一度お会いしたかったと今では後悔しています。少なからず「見えない彫刻」から影響を受けた者として、飯田さんのご冥福をお祈りいたします。

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