ブガッテイを運転する女性像

1929年に描かれたタマラ・ド・レンピッカの「自画像」は「デイ ダーメ(ドイツ語で婦人)」の表紙を飾り、そのイメージは自立する女性像、流行の車に颯爽と乗るモダンガール、そしてアールデコの象徴として印象づけられました。今もレトロな感覚とともに新鮮な印象を残します。ブガッテイは緑色のオープンカー、乗っている女性はシルバーのヘルメットをかぶり、近未来的な雰囲気さえ漂います。私の趣向として、こうした世界が大好きなのです。自分もレトロな車体をもつクライスラーに乗っています。その感覚はひょっとして無意識に自分の作品にも反映しているのかもしれません。歯車のイメージが前時代的な工場と結びつくと人に指摘されたことがあります。確かに陶彫や木彫を素材として私は人工的な世界を作っています。タマラ・ド・レンピッカの油絵も、モチーフが人物や静物、たとえ花を描いたとしても人工的に見えるのは私だけでしょうか。私がタマラ・ワールドのファンなのはそんなところにあるのかもしれません。

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