カール・リープクネヒト追悼

表題の作品は、ケーテ・コルビッツの木版画です。20歳代の頃、ドイツ表現主義に魅かれたのはケーテ・コルビッツの版画や彫刻がきっかけになっています。戦争で息子を失った母が描く世界に強烈なアピールがあって、自分はたちまち表現の激しさに打たれてしまったのでした。なかでも「カール・リープクネヒト追悼」はその構図といい、表現といい、自分には忘れられない作品になってしまいました。死者に置かれた手。そのごつごつした重い手の表現を同じ木版画で真似てみたりしました。板目の木版画は平面的表現しか出来ないと思っていたところに、ざっくりした立体表現の、しかもいいようのない暗く過激なテーマをもったこの作品が現れ、さらに彫刻的な量感をもっていることもあって、当時の自分を揺さぶるには充分な要素がありました。彫刻はE・バルラッハと似ていますが、コルビッツの方が私的な動機で作られたような気がします。母子像が多いためなのかもしれません。

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