舞台・ベルリン

ドイツの第二次大戦の話ばかりブログで書いていますが、表題の本「舞台・ベルリン〜あるドイツ日記1945/48〜」は、1985年自分がウィーン生活を切り上げて帰国した頃に読んだものです。ウィーン生活がまだ生々しい時に、この本を読んだので建物の作りや部屋の様子がよく伝わり、臨場感は凄いものがありました。日記は戦争終結当時のナチスに翻弄される一般の人々を描いたもので、ゲシュタポに監視され、街が崩壊していく様子に、今まさに自分がそこに居合わせているような錯覚がおこるほどでした。平和な時代に生まれている自分が海外で暮らしたことで、そこで知り合った人々、たとえば住宅の管理人をしていたおじさんは片目がなくて、それはヒットラーのせいだと恨みを言っていたのを思い出したり、隣町のブタペストにはまだ壁に砲弾の跡が残っていたりして、今だ戦後が消えていない現状を見たからに他なりません。もう身近に戦争を語る人がいなくなっています。未来永劫自分を含めて人々が生命を脅かされることがないように祈るばかりです。

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