三沢厚彦展

「三沢厚彦ANIMALS+」という木彫作家による大掛かりな個展が平塚市美術館で開催されているので、今日行ってきました。単純な写実ではなく不思議な存在感を示す動物彫刻たちが、大小さまざまに展示されていて、会場は楽しさばかりではなく、ちょっと不気味で、大胆な量感にあふれた面白い世界が広がっていました。鑑賞者の中に子どもが多く、ワクワクしながら走り回って、案内係に注意をされていました。子どもの反応が示す通り、堂々とした存在感と理屈抜きの面白さがこの作家の特徴かなと思いました。自分は動物彫刻がきちんとまとまっていくまでの試行錯誤の小品が気になりました。というよりこの時期の悩みや迷いがわかる気がしました。動物の骨格から目の位置にいたるまで己の中にあるカタチを探っていく過程が示されていて、作る者の何ともいえない暗中模索が伝わってきました。その過程があってようやくカタチが生まれてきて、存在感がでてくるものだと改めて認識しました。

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