2つの地下都市

トルコの地下都市を訪ねたのは20年以上も前のことなので、記憶が徐々に風化しています。訪ねた地下都市の名称はカイマクルとデリンクユでした。どちらがどうだったか忘れてしまいましたが、蟻の巣のように地下へ続く洞窟を地元の少年が案内してくれました。入り口には巨大な円形の石の扉がありました。この扉を転がせて入り口を塞いで、外敵から人々の暮らしを守るようになっていたのですが、扉がオブジェのように見えました。地下は8階まであって、ワインの製造所や教会などがあり、とくに印象的だったのは教会の床が十字架の形になっていたことです。通気口もありました。自分は狭い所が苦手で、人一倍圧迫感をもってしまうのですが、この地下都市では興味が先立って、閉所に対する強迫観念が吹き飛んでしまいました。それどころか自分の創作にこの地下都市の造形を取り入れられないものか、真面目に考えていました。そのくらいインパクトのあるひと時でした。

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