鉛筆を削る

鉛筆は素敵な道具だと思っています。最近はものを書く時にシャープペンを使うことが多いのですが、こと美術に関してはやはり鉛筆が手にしっくりきます。美大受験の時から慣れ親しんだ習慣があります。まず、デッサンやエスキースを始める際は、カッターナイフで鉛筆の木の部分をぐるりと回しながら均一に削り、それから芯の先を適度な細さにしていきます。これは美術的な作業に入る前の儀式のようなもので、鉛筆を削りながら精神統一し、美術の世界へと自分を誘います。作業途中にあっても、鉛筆を削りなおすことで安息を得たりします。木彫の際の鑿研ぎ、陶芸の際の土練りに似て、創作へむけて自己を暗示にかける手段だと思います。電動鉛筆削りでは得られない感覚です。しだいに短くなって使いづらくなるまで愛着を感じます。手放す時には創造行為を一手に引き受けた様相になり、そうした鉛筆たちに感謝しています。

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