バイオメカノイド・アート

H.R.ギーガーという強烈な個性をもつ画家を知ったのは、「エイリアン」の映画を通してでした。彼はキャラクターを初めとする宇宙船内部全体のデザインを手がけていました。そのメカニックで生々しい表現は、性的であり暴力的であって他の追従を許さないほどの圧倒的な迫力がありました。20数年前にウィーン幻想派の洗礼を受けた自分には、E.フックスの世界に近いものを感じましたが、悪魔的で荒廃した機械文明を正面切って見せた人はギーガーをおいて他にはないと思いました。ただグロテスクなだけでなく、デザインの部分には大変美しいカタチのリズムやコントラストがあって、それが芸術性を高めているのではないかと感じています。画集の解説ではこれをバイオメカノイド・アートと称していました。リアルというより奇妙な作りモノの世界ですが、楽しめる要素がいっぱいありそうなので、一度スイスにあるギーガーの美術館に行ってみたいと思います。

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