一通の手紙より

展覧会に来られた恩師から手紙をいただきました。以前紹介した彫刻家の恩師ではありませんが、自分にとって大切な方です。そのまま引用させていただきます。「発掘シリーズによって人間の原点を模索し、いよいよ人間性の構築への取り組みですね。愛情、失意、信頼、裏切り等、不条理な包囲網を打ち破り、何が求められるか期待しています。」文筆業をされていて、横浜にまつわる文士をテーマにした本を出版されている笠原実先生です。大変有難い言葉をいただいて痛み入ります。自分が何気なくイメージしていたメッセージを端的な言葉にしていただきました。陶彫から木彫に移行したのは単に技術的な移行ではなく、作品の意味合いまでも移行したわけです。ただし陶彫でやり残したものはまだあって、発掘シリーズは継続します。構築シリーズと併せて、振り子のように同時進行していくつもりです。

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