Archives for the Month of 10月, 2006

漆喰と砂

立体造形の表面処理で、陶彫は窯から出したままの状態で使う場合が多いのですが、木の場合はいろいろ考えます。HPのギャラリーのアップしている「構築〜距離〜」という作品は、門やピラミッドを木で彫って作り、その上から漆喰を塗って […]

立体の表面処理について

彫刻を始めた頃、構造がしっかり出来ていれば表面なんてどうでもよいと考えていました。表面の色や質感にこだわるようになったのは陶彫を始めてからです。陶芸は使う陶土や化粧土、釉薬によって立体でありながら表面の美しさを楽しむもの […]

テーブル彫刻について

陶彫によるテーブル彫刻を以前作ったことがあります。テーブルを大地と考え、テーブルの上面をプラス、下面をマイナスとして両方に立体が伸びていくようにしました。むしろ地下に埋もれている部分を表現したくてテーブルにしたのが発想の […]

制作の小さな分離形

現在制作中の30本の柱が林立して囲むカタチは「構築〜包囲〜」とタイトルをつけることにしました。まだ手をつけていない柱が6本あり、早速彫らなければならず、時間との戦いになりつつあります。そんな忙しい時に、小さな柱3本で構成 […]

ダリの幻想と風土

上野の森美術館でダリのまとまった絵画作品が観られることを知って出かけてきました。マスコミの宣伝もあって大変な混雑振りでした。人の頭越しに観る作品でしたが、それでもダリの並々ならぬ才気を感じる作品に驚きました。幻想世界をリ […]

オーストリアの大学について

横浜市の教員向けの研究会でオーストリアの教育システムについて講演をしたことがありました。オーストリアは日本と違い、一斉に9年間の義務教育があるわけではなく、早い時期に職業技能を身につける学校に進む方法や中高一貫教育の学校 […]

ウィーン美術アカデミー名作展

ウィーン美術アカデミーは母校です。とはいえ、やはり外国人である自分は学生同士の繋がりも希薄だったため、日本の学校のように胸を張って母校と言えないところがあります。でも1980年代に在籍していました。学校と下宿の行き帰りが […]

ウィーンの長い冬

このところ朝晩めっきり冷え込んできました。こんな季節になるとヨーロッパに暮らしはじめて嫌気がさした長く暗い冬のことを思い出します。夕方4時になると辺りは暗くなり、釣瓶落としの如く夜の帳がおりて、翌朝は9時にならないと明る […]

ハウス デア クンストとレンバッハ美術館

アルテピナコテークを観たその日にハウス デア クンスト(芸術の家)も観ています。ここには「青騎士」を初めとするドイツ表現主義の重要な芸術家たちの作品が展示されていました。これは何かの企画展だったのかもしれません。とにかく […]

アルテ・ピナコテーク

アルテ・ピナコテークはヨーロッパに渡って初めて観た大規模な美術館でした。パリのルーブル美術館でもなく、イタリア各地の美術館でもなく、このミュンヘンの美術館が自分の脳裏に最初にすり込まれた西洋絵画になりました。デューラーか […]

ブッターミルヒとブラウエケーゼ

ドイツに渡って、まずスーパーマーケットで買ったのが牛乳とチーズでした。牛乳は「ブッターミルヒ」、つまりバターミルクが名前からして美味しいはずだと疑うことなく買いましたが、一口飲んで思わず吹き出しました。牛乳が酸っぱいので […]

ノイシュバンシュタイン城

1980年に初めてドイツに渡り、語学を学ぶため通っていたゲーテ・インステイテュートで、フュッセンにあるノイシュバンシュタイン城を初めとするバイエルン王が作った城や劇場を見て回る遠足がありました。多国籍生徒がバスで出かける […]

ムルナウの短い夏

ドイツのバイエルン州のある小さな町で、かつて画家カンデインスキーがひと時暮らしたことがあります。そのムルナウには外国人のための全寮制のドイツ語学校がありました。ゲーテ・インステイテュートという学校でドイツに何箇所があり、 […]

作庭家 重森三玲

松下電工汐留ミュージアムで「重森三玲の庭」と題する個展が開かれています。作庭のプランや模型、写真などによる展覧会で、画家や彫刻家ではなく、さらに工芸家や建築家でもない人を扱ったユニークな内容でした。亡父が造園業をやってい […]

鉈彫りに思う

「一木にこめられた祈り 仏像展」の中に鉈彫りで出来た仏像が何点かありました。制作途中と言うより、丹念な制作を終えてから敢えて鑿で跡を残したようです。鑿跡が同じ方向に整っていました。どうして鑿跡をそろえなければならないのか […]

一木にこめられた祈り 仏像展

上野の国立博物館で開催している「一木にこめられた祈り 仏像」の展覧会を過日観に行きました。なかなか見応えのある内容で、心にどっしりと木彫による仏像の姿が刻まれてしまいました。最初の部屋は小さめの十一面観音菩薩が数多く展示 […]

ザワークラウトの瓶詰め

ザワークラウトはキャベツの酢漬けです。ヨーロッパで美味しいと思った料理のひとつです。ザワークラウトを小さく刻んだ肉と混ぜて煮込んだものが特に好きでした。よくスーパーマーケットで瓶詰めされたザワークラウトを買いました。日本 […]

ゲルムクヌーデル

ウィーンの学生食堂で、中華あんまんを売っているのか?と誤解したのが、この「ゲルムクヌーデル」でした。訳すと「イーストの入ったダンゴ」。確かに中華あんまんに近いものでした。中味の餡は芥子の実が原料と思われるやや酸っぱめのも […]

ウインナーシュニッツエル

日本で言うトンカツに近い料理ですが、牛肉をたたいて平たくして、パン粉をつけてラードで揚げるところがトンカツとはまるで違います。カロリーは日本のトンカツ定食とは比べものにならないくらい高いと思います。しかも平たくしているの […]

レバーケーゼ ミット センメル

ウィーンの青果市場(ナッシュマルクト)に売っている食べ物でペースト状にしたレバー肉を焼いて小さなパンに挟んだ「レバーケーゼ ミット センメル」が美味しくて、買い物に行ったついでによく食べました。レバーと言えどレバー臭さが […]

陶を素材とする立体作品

フンデルトワッサーや池田満寿夫の陶芸を見ていると、これはもう用途を持つ陶磁器とは異なり、むしろ陶を単なる素材として扱った立体作品と言えます。これは彫刻分野の仕事です。そこに工芸的な要素はありません。日本で初めてこうした作 […]

池田満寿夫の「般若心教」

昨日、フンデルトワッサーが作った陶芸のことをブログに書いた後、ふと思い出したのが池田満寿夫の陶彫「般若心教」です。去年、三重県にあるパラミタミュージアムに行き、池田満寿夫の陶彫コレクションを見てきました。奔放な土の動きと […]

フンデルトワッサーの壺

陶芸がやりたくてもその手段が見つからなかった滞欧時代、ウィーンの目抜き通りであるケルントナー通りに洒落た工芸品を扱う店があって、そのウインドウにフンデルトワッサーが作った壺と深皿が飾ってありました。何度もそれを見て歩き、 […]

フンデルトワッサーに会った日

フンデルトワッサーが亡くなってどのくらい経つのでしょうか。自分がウィーン国立美術アカデミーに在籍していた頃、アカデミーにはフンデルトワッサー教室があって、よくそこを見に行きました。観葉植物が所狭しと置かれて、さらに様々な […]

彫刻家カール・プランテル

オーストリアのオーバーエスタライヒ州に住む彫刻家中島修さんと一緒にカール・プランテルの自宅を訪ねたのは、もう20数年前になるでしょうか。農家を改造して中世の木の家具をモダンに配置した部屋に通されて、お茶を頂きました。プラ […]

ビリーの追悼作品

ビリー・ザウワー夫人を訪ねた折、ビリーの残した版を刷り上げたお礼にビリーと当時交流のあった画家たちの作品を頂きました。ほとんどすべてがビリーの追悼のために作られた版画でした。蔵書票のような目的で作られた小さな版画もありま […]

版画家ビリー・ザウワー

先月のブログではクリムト、シーレ、ココシュカといったウィーンでは有名な画家のことを書きましたが、今月は個人的に関わりのあった芸術家について書こうと思います。ビリー・ザウワーは20世紀初頭に短い生涯を送った版画家です。シー […]

ボトルバの墓参り

ウィーン中央墓地は観光スポットのひとつです。音楽の都であり続けるウィーンならではの場所だからです。ベートーベン、シュトラウス、シューベルト等々錚々たる音楽家が眠っています。モーツアルトは共同墓地に葬られてしまったので記念 […]

ボトルバの教会を見る

ウィーンの彫刻家ボトルバの建てた教会は、大きなオブジェが大地にあるといった存在感で、とても教会とは思えませんでした。コンクリート打ちっぱなし、板材を様々な角度で構成した建造物で、なにか近未来的な生物のようでした。中に入る […]

ボトルバの教会に行く

建築からデザイン、そして彫刻へ興味が移っていった自分を振り返ると、彫刻家であり建築も手がけた作家は自分にとって大変魅力的な作家といえます。その逆に彫刻的な建築を作った建築家も魅力的です。スペインのガウデイはその有機的な建 […]

10月になって思うこと

だいぶ涼しくなって夜には虫の音が聞こえています。横浜と言えど幸い周囲は緑地が多く残されているので、まだ虫の音やら畑に実る作物があって風情を感じさせます。創作の秋が到来しました。制作に明け暮れたいところですが、勤めも多忙を […]