ウィーン分離派

自分が通っていたウィーン国立美術アカデミーの裏に不思議な建物がありました。建物の頭に金属の葉で出来た球体をのせた建物で、よくアカデミーの窓から眺めていました。その建物は「セセッション」という建物でした。自分がアカデミーにいた頃は「セセッション」館は閉鎖されていましたが、まもなく修復されて、内部ではクリムトの「ベートベン・フリーズ」という壁画を見ることができました。この「セセッション(分離派)」に興味を持って書籍も手に入れましたが、ドイツ語の原書を読む気が起こらず、書棚に眠っています。分離派とは、旧態依然とした19世紀美術界からの分離を意味し、モダニズムを提唱した運動だったようですが、完全な抽象までは到達しないまま短期間に終わったようです。でも画家や彫刻や工芸家が一同に集った展示内容は革新的なものだったのではないかと想像されます。

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