ルーマニアの墓地

亡父の墓石を立てた時に、若い日々に旅したルーマニアの村々にある墓地に想いを馳せました。ルーマニアの木造りの墓地は死者のエピソードを取り上げて、具象的な絵画作品、いや浮き彫りされた厚板に彩色された作品というべき墓標があり、その楽しさは思わず微笑んでしまいたくなるほどでした。ちょうどその頃旅した旧ユーゴスラビアの村で、農民が農閑期にガラスに描いたフォークアートと出会い、その素朴な雰囲気がルーマニアの墓標に似ていたのを思い出します。専門的な美術を勉強したわけではない人々が作る素朴な造形世界はどうして肩肘張らずに面白いのか、構成や色彩の取り合わせにはハッとするものも多く、琴線に触れることもありました。こんな墓地に葬られることは、あるいはとても贅沢なことなのかもしれません。

関連する投稿

  • ルーマニアの木造りの教会
    ブランクーシのことを考えていると、今制作中の木彫が「無限柱」に似てくるので少々困っています。確かに「無限柱」は美しい造形で、簡素化させた形態の極みだと思います。ルーマニアの門や家の装飾がブランクーシの発想の源と以前ブログ...
  • ルーマニアの門
    ウィーンで学生だった頃、紀行作家のみやこうせい氏と学生食堂で知り合い、それが縁で彼が取材していたルーマニアに度々同行しました。自分は彫刻を学んでいたので、ルーマニアといえばブランクーシに関連するものがあるかもしれないと考...
  • ブランクーシのアトリエ
    たまに記憶の底から甦るところにパリのブランクーシのアトリエがあります。20数年前の当時はポンピドーセンターの近くにあって写真でしか知らなかったブランクーシの作品が所狭しと置かれていました。思っていたより小さく白っぽい空間...
  • 聖夜の思い出
    自宅から比較的近い場所に職場があるため、通勤で繁華街を通ることがなく、クリスマスのイルミネーションを今年はついに見ずに、クリスマスが過ぎていきます。本来は主イエスの誕生した日を祝う宗教行事なので、樅の木に飾った電飾を愛で...
  • P・クレーに纏わること
    愛読している「瀧口修造全集1」の中に、パウル・クレーに纏わることが出てきます。瀧口修造がパウル・クレーのご子息に会いに行き、そこで出会った様々なことが述べられていて、それらをとつおいつ読んでいるとその情景が広がります。自...

Comments are closed.