ブランクーシのアトリエ

たまに記憶の底から甦るところにパリのブランクーシのアトリエがあります。20数年前の当時はポンピドーセンターの近くにあって写真でしか知らなかったブランクーシの作品が所狭しと置かれていました。思っていたより小さく白っぽい空間であり、制作途中の作品や道具があって、ブランクーシを一人の人間として認識したのを覚えています。それだけなら単なる巨匠の一人として記憶の底にしまうところですが、人を介して偶然ルーマニアに出かけたのを契機に一気にブランクーシが身近な存在になったのでした。ブランクーシはルーマニア出身で、巨匠ロダンに師事したにも関わらず、独自の道を歩むことになった現代彫刻のパイオニアです。ブランクーシのカタチがルーマニアに起因していたことを彼の地で知って、ブランクーシのアトリエで見た作品が抽象にも関わらず、何か地に根ざしたものとして印象に残ったことを改めて感じた次第でした。

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