師匠の思い出

20代の頃、直接教えていただいた師匠は池田宗弘先生で、真鍮で人物や動物などが繰り広げる場としての彫刻を作っていました。枯れ木や壁も金属で作り、その洒脱で軽みのある表現にとても惹かれていました。今も長野県の山奥でキリスト教をテーマにした彫刻を作り続けています。ちょうど池田先生に彫刻の基礎を習っていた頃、大学に彫刻科とは別にデザイン科の学生のために共通彫塑という科目があり、そこに保田春彦先生や若林奮先生が来られていました。自分は直接教わることはなかったのですが、保田先生や若林先生の作品にも惹かれ、とくに保田先生は大学で制作されていたので仕事場を盗み見ては刺激を受けていました。今ならお話を伺うこともできるでしょうが、あの頃は何をどうアプローチしてよいかわからず、ただ仕事場の光景やら先生が取り組んでいられる様子をひたすら目に焼き付けていたのを思い出します。当時の先生方の年齢に今自分がなっているのが不思議です。自分も仕事場いっぱいに作品を広げていると、何となく当時が懐かしいように思えます。

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