今日は朝から工房にいました。午前中は新作屏風のために陶土を準備していました。と言っても前回の陶彫の使い残しと成形の時に削り取った陶土です。自分は陶土を単身では使いません。2つの陶土を割合を決めて土錬機にかけて混ぜ合わせます。だから余った陶土も貴重なのです。硬くなった陶土を細かく砕いて水を打っておきます。何日かビニールに包んでおけば柔らかくなりますが、それを土錬機にかけて、さらに菊練りをやって再生させるのです。今日は水打ちまでやりました。練るのは来週になります。午後は家内と静岡県三島まで出かけていき、現在、大岡信ことば館で開催中の「宇佐美圭司 制動・大洪水展」を見てきました。宇佐美圭司のめくるめく独特な視座を持った絵画は、東京の京橋にあった南画廊で拝見した以来です。詳しい感想は機会を改めますが、充実した時間を過ごすことが出来ました。家内とドライブしたのも久しぶりでした。環境を変えて新作への意欲を掻き立てていきたい思惑がありましたが、宇佐美ワールドに接し、私も来週から頑張れそうな気がしています。
週末 新作へ向けて
2012年 5月 19日 土曜日
今日の午前中は7月個展に出す作品の梱包を行い、午後になって来年の新作に向けて歩き出しました。新作は木彫レリーフによる三双屏風で、陶彫部品を埋め込むのは「発掘~混在~」と同じですが、木彫部分がかなり異なっています。昆虫のような生命体をイメージしていて複数の脚を彫りだしていこうと考えています。陶彫部品は甲羅のようなイメージです。現在工房にある木材を集め、足りない木材は近日中に買いに行きます。木材は建築の内部に使う集成材で、無個性で安価なものです。その方が造形には都合がいいのです。木目の美しい銘木は、そのままで価値を持っているので肌理細かな工芸には向いていますが、素材の表面に頼らない彫刻には不向きです。まず、新作の全体計画をぼんやりと頭に描きました。素材を前にしないと、どうにもカタチがまとまらないので、大まかなイメージを掴んでおいて、原寸大のエスキースを描くことにしました。今回も陶彫部品と木彫部分を同時に進める予定です。常に全体を見ながら進める方法は「発掘~混在~」と同じです。ただし今回は砂マチエールは使いません。木材の彫り跡をそのまま残そうと考えていて、木は木のまま見せる方法をとります。実際には明日から作業を始めます。
生きがいを持つ
2012年 5月 18日 金曜日
前までいた職場には油絵を描く人や演奏活動をする人がいて、余暇を十分楽しむ雰囲気がありました。この職場にも家具作りをしている人や浅草で和太鼓の演奏をする人、フルートを演奏する人がいて、ホッとした気持ちにさせられます。仕事一辺倒より何か自分なりの表現活動をしている人が職場にいてくれると、昔から二束の草鞋を履く生活を送っている自分は勇気づけられます。仕事は仕事としてしっかりやって、その上で自分なりの世界をもっている、そんな生活が理想ですが、その理想を実現するために四苦八苦することもあります。自分はいつも何かに追われている生活習慣が板についてしまいました。のんびり出来ない症候群かもしれません。スケジュールが一杯なのが安心を得ることなのかもしれません。でも仕事以外の表現活動は生きがいであることには違いありません。創作一辺倒でやれる日が来ることを期待している現在の状態が本当は一番いいのかなぁと思っている今日この頃です。
松島図屏風
2012年 5月 17日 木曜日
東京上野で開催されている「日本美術の至宝」展を見て、尾形光琳の「松島図屏風」に注目しました。尾形光琳の代表作は熱海のMOA美術館にある有名な「紅白梅図屏風」です。自分は何度となく「紅白梅図屏風」を見て、画面中央にある川の流紋に現代的な意匠を感じて、ひと目で気に入りました。19世紀末オーストリアの画家G・クリムトの装飾に似ていると感じました。今回「日本美術の至宝」展に出品されている「松島図屏風」は、図録によると本画は光琳が傾倒した俵屋宗達の「松島図屏風」に倣ったもののようですが、波の動きが一層ダイナミックになっていると解説されています。まさにそのダイナミズムが自分の印象に残ったのです。まるで現代絵画のようで、他の出品作とは雰囲気が異なります。光琳は江戸時代の意匠家、つまりデザイナーであったわけですが、本画にはそうした光琳の面目躍如とした表現があって、大胆な構図や思い切ったデフォルムが生き生きとしていました。
平治物語絵巻 三条殿夜討巻
2012年 5月 16日 水曜日
東京上野で開催中の「日本美術の至宝」展で見た二つの絵巻に惹かれました。登場人物の表情やその表現の緻密さは今まで見た絵巻の中で群を抜いているように感じました。会場は大変な混雑ぶりで、人を押し退けないと実物に近づけない有様でしたが、何とか人と人の間から実物を垣間見て回りました。つまりそれは鑑賞者が後を絶たないほど凄い表現力を持った作品であることを示しているわけで、「吉備大臣入唐絵巻」の人物描写や「平治物語絵巻 三条殿夜討巻」に登場する武士の甲冑や馬の表現、それらが群集となり、さまざまな姿態で表されている情景は、いつまで見てても飽きることがありませんでした。とりわけ自分は「平治物語絵巻 三条殿夜討巻」のドラマ性のある展開に魅了されました。炎上する御所と上皇が拉致される場面が劇画的効果を齎していました。現在NHKで放映中の「平清盛」にも通じるものがあって楽しく見ることができました。絵巻は物語の展開が楽しめる素晴らしい表現方法です。史実の考察にも一役買っているのかもしれません。コンパクトに巻いて保存できるので、機会があれば自作の絵巻を作ってみたいと思いました。
12‘図録打ち合わせ
2012年 5月 15日 火曜日
7月個展に向けて、いつ頃どんなことをやっているのか、毎日NOTE(ブログ)を書いている自分はアーカイブを読むと把握できます。昨年も同じような撮影日、打ち合わせ日であったことがわかり、一応安心を得ることができました。今年も進展があった時は必ずNOTE(ブログ)に書くようにしようと思っています。今日は先日撮影した画像をもとにカメラマンとの打ち合わせになりました。昼間は公務員として働いている自分は、毎回夜の時間帯に打ち合わせを設定させていただいています。今回の図録も例年の通り、というか例年以上に充実したものになりそうです。今回の特徴は集合彫刻を全てバラバラな部品にして、それを野外工房や室内工房に散在させて撮影してもらったことです。光と影の具合なのか、部品がそれぞれに主張しているような存在感があって楽しい現場になっていました。「陶紋」はカメラマンに砂丘に行って撮影していただいたもので、図録の見開きに掲載します。案内状にも砂丘を使うことにしました。今回の図録も説明的な記録に終わらないように遊びの要素を入れました。それもカメラマンの絵画的視点があってこそ出来るものなのです。彫刻家である自分とカメラマンがお互いのヴィジョンを持ちよって作る図録は、自作を別の角度から照射してくれる作品です。そんな図録も今回で7冊目になりました。
平成館の「日本美術の至宝」展
2012年 5月 14日 月曜日
先日の土曜日に声楽家の叔父が、東京上野でリサイタルを行ったついでに、東京国立博物館平成館で開催中の「ボストン美術館 日本美術の至宝」展を見てきました。お馴染みの絵師等の初めて見る作品に接し、日本から海外に流出した膨大な作品に思いを巡らせました。もしもこれだけの作品が日本にあったらと思うと、このような良好な状態で現在まで保存できているかどうか疑わしいと正直感じました。遺産が海外に流出することは国にとって大変な損失に違いありませんが、当時の国民の日本美術に対する意識の低さからすれば、海外の人々の先見の明に助けられていたのは否めない事実です。米国ボストン美術館の東洋コレクションは世界的にも有名なことは私も知っています。所蔵作品に米国人好みもあるようにも感じましたが、尾形光琳や曽我蕭白の斬新で豊かな画面構成が眼に焼きつきました。いくつかの作品の感想は後日に改めますが、内容の濃い展覧会のために多くの鑑賞者が訪れていました。最近は平成館の企画による日本美術の展覧会に自分もよく足を運びます。自分が学生の頃は、まだ西洋一辺倒の風潮が残っていましたが、ここにきて自分を含めた多くの人たちが日本美術を見直し、その卓抜な表現力を味わっています。博物館側からの仕掛けもあるでしょうが、納得が出来る視覚表現がなければ人は来ないと思います。そういう意味で今回の米国からの一時帰国展は有意義な機会であるし、私たちも先祖の成し遂げた功績を見直す契機になっているはずです。
週末 梱包材の準備
2012年 5月 13日 日曜日
先週、図録用の撮影が終わったので、今日は梱包材を買いに出ました。搬入は7月ですが、作品の梱包を始めます。梱包は今回の搬入搬出のためだけではなく、作品の保存のためにしっかりしたものを準備したいと思っています。ただし垂木を組むことは今回考えていません。シートにエアキャップ材を貼り付けて、6つのボックスを包むつもりです。陶彫部品には木箱を作ります。早めに梱包をするのには、もうひとつ理由があります。これは次の作品を考え始めるためで、7月個展の作品が目の前にあると新作になかなか取り掛かれないのです。新作は頭に描いている完成イメージがあります。今までの作品に比べれば木彫部分が多くなり、また技巧的な彫りが増えます。浅草に行った折、大小の鑿を購入して用意してきたのはこのためです。まだ木材の準備はありませんが、7月個展の作品の梱包と併行して新作にも取り組んでいきたいと思っています。
東京上野の「下野昇リサイタル」
2012年 5月 12日 土曜日
東京上野にある東京文化会館小ホールで「下野昇テノールリサイタル」がありました。声楽家下野昇は親戚です。現在76歳のテノール歌手ですが、今日の演目は全て本格派のドイツ歌曲。この年齢にして果たして歌えるものかと疑っていましたが、その堂々とした歌唱には驚くばかりでした。前のNOTE(ブログ)にも書いた覚えがありますが、自分は叔父という贔屓はいっさいしません。むしろ親戚なので厳しいことすらありますが、それを加えても実力のほどは余りあるものがあります。叔父は音楽の土壌で己と闘う声楽家です。表現が枯れることも技巧に甘えることもありません。真摯に立ち向かう姿勢が、自分を含めた観衆に感動を与えるのだと思います。モーツァルト、ベートーヴェン、マーラー、R・シュトラウスの難解な歌曲を高らかに歌い上げる叔父は、天与として体格や強い声帯に恵まれていますが、それを十分駆使し、なお精神力で音楽の真髄を築いていくところが尊敬に値するところです。自分も造形美術という世界で、どの年齢に達しても闘い続けなければならないと考えます。自分の身近にこういう存在がいるということも自分には幸運です。今日は「下野昇テノールリサイタル」の前に国立博物館平成館に立ち寄り、ボストン美術館が所有する数々の日本の名作を見てきました。その感想は次の機会に書きます。今日は音楽と美術の両輪が揃った充実の一日を過ごしました。
「西洋の没落」再読開始
2012年 5月 11日 金曜日
私は1980年から85年にかけて5年間をヨーロッパで学生として過ごしました。ちょうど24歳から29歳までの異文化を学ぶには絶好の機会が与えられたわけです。当時は無我夢中で何か準備をしなければ渡欧する意味がないと思え、事前学習をしておこうと決めていました。その中に「西洋の没落」(O.シュペングラー著 村松正俊訳 五月書房)の読破を入れていましたが、読み始めて僅か数ページで断念し、そのまま実家の押入れに仕舞い込んでしまいました。海外から帰国した際に、もう一度チャレンジしましたが、第一巻すら歯がたたず、今度は自宅の書棚に移したまま放置していました。今回は3度目のチャレンジになります。本書は壮大な哲学書ですが、何としても読み終えたいと思っています。短い通勤時間帯ではどのくらいの時間がかかるのか見当もつきませんが、生涯学習のひとつとして少しずつ意味を咀嚼しながら30年前の目標を達成したいと思います。ページを捲ると変色した紙と埃の臭いがします。こんなになるまで放っておいた書籍に向かって、今度こそは読み切るぞと呟いています。
「芸術の意味」読後感
2012年 5月 10日 木曜日
昔から芸術作品を語る時に自分がよく使っているコトバや論理は、白状すればどこかで得た知識であり、誰かの受け売りであり、何かの書籍によって頭に刷り込まれたものです。読み終えたばかりの「芸術の意味」(ハーバート・リード著 瀧口修造訳 みすず書房)は20代の頃一度読んでいたのですが、当時は難解な印象があって30年経った今になって再読を試みたわけです。読んでいくうちに、これは自分がよく使っている言い回しがあったり、造形理論の根拠としているコトバがあるのに思わず苦笑してしまいました。もちろん頭に刷り込まれた知識は、本書だけではないとは思いますが、20代に得た知識が自分の中で血肉化していて、あたかも自分ひとりで考えたように語っている自分が恥ずかしくもなりました。若い時代には解読が難しかった箇所が本書には数々あって、それでも何とか己のものにしようとして過去の自分は努力していたんだなぁと思い返し、今回の再読には意義があったと思えました。言い換えれば自分のネタ本だったことを、自分は暫くの間忘れていたことになります。もっと言えば本書で取り上げられている個々の芸術家は、芸術史全体を網羅していませんが、自分が最初に傾倒した芸術家が本書に登場する芸術家に重なります。もちろん自分の眼で見て感動した芸術作品は数多くありますが、最初に知識があって感動を覚えた芸術作品もあり、それはハーバート・リードの解釈によって感動を与えられたと言っても過言ではありません。若い頃にどんな書物と出会えたか、どんな知識を身につけられたかを考えると、その後の自分の心の生育に何らかの影響を及ぼすことになると改めて感じた次第です。
横浜の「マックス・エルンスト展」
2012年 5月 9日 水曜日
先日、横浜美術館で開催中の「マックス・エルンスト展」に行ってきました。シュルレアリスムの主流な芸術家の一人であるドイツ人画家マックス・エルンストは、画風がシュルレアリスムであるなしに関わらず、自分はその構成感覚が大好きなのです。とくにデカルコマニーを多用して森を表現したシリーズに惹かれています。画面中央にどっしりした物体があり、それが何か説明のつかない異様さを持って迫ってくるようです。フロッタージュの効果を利用した絵にも自分の想像が刺激されていくのを感じます。画面の中に自分だけの発見があり、自分だけのイメージを持つことが許される世界だと思います。鑑賞者によって感じ方がそれぞれ異なり、また自分の中でもその時その時によって印象が変わっていくのがエルンストの世界と認識しています。モダンテクニックを駆使した奇妙なカタチが、何かあるものを暗示し、謎解きのような遊びに浸れるのもエルンストの世界です。ここで1点1点の作品の感想を書きたいのですが、紙面の都合で今回は全体の印象に留めます。次の機会に、自分にとって印象深かった作品を取り上げてみたいと思います。
5月RECORDは「対話」
2012年 5月 8日 火曜日
一日1点平面作品を作り上げて、それをRECORD(記録)と称しています。かなり前から月ごとのテーマを決めて、さらに5日間を同じ構成要素にしています。言い訳になりますが、時間がない中で一日1点ずつ作っていくには、これが一番やり易い方法なのです。やはりマンネリ化は避けられないものの、今までにない要素を探りながら現在まで継続しています。今月のテーマは「対話」に決めました。数々制作したRECORDの中で、将来彫刻として具現化できるものが見つかればいいなぁと思っています。「対話」は人と人が絆を作り上げる第一歩で、震災を契機に家族とのコニュミケーションを見直してる今、「対話」する大切さを感じています。その「対話」を象徴して表現できればと考えています。今月も小さな一歩から始めていこうと思います。
ワグナー・ナンドール美術館
2012年 5月 7日 月曜日
先日、栃木県益子へ行った時にワグナー・ナンドール美術館を訪ねました。益子の陶器市会場から歩いて数分の小高い丘の上に美術館はありました。ワグナー・ナンドールというハンガリー人彫刻家を知ったのは、この時が初めてでした。「こんな雨の中をよくいらっしゃいました。今日は誰も来ないかと思いました。」と受付の婦人に招かれて美術館に入ったら、その建築空間に忽ち魅せられてしまいました。丘の段差を利用した美術館には、実際に作家本人が使用していた住居兼アトリエ、茶室、学生寮があり、さらに没後に建てられたギャラリーや野外展示場がありました。ワグナーは現ルーマニアに生まれた人で、ブタペストの美術大学在学中に第二次大戦に赴き重傷を負ったようです。その後のハンガリー動乱によってスウェーデンに亡命を余儀なくされ、そこで知り合った日本人女性と結婚、栃木県益子にやってきた経歴があります。言わば世界情勢に翻弄された人生を歩んだ人で、作品のテーマが世界幾多の宗教思想や哲学に向かったのは十分理解できると思いました。歴史上の偉人たちが集う空間を具象表現した「哲学の庭」は作家の代表作で、美術館にも野外展示されていました。自分は技巧上の完成は認めるものの、意図が説明的すぎて今ひとつ心に入り込むことはありませんでした。表現が具象ではなく具体なので、そこに作家が広い世界観を捉えようとしているにも関わらず、逆に狭義な印象を持ってしまうのは私だけでしょうか。美術館そのものは素晴らしい環境の中で作品を鑑賞するのに相応しい条件を備えていました。
12‘図録撮影日
2012年 5月 6日 日曜日
ゴールデンウィークの最終日は個展用の図録撮影日となりました。東京銀座のギャラリーせいほうでの個展も今年で7回目になります。個展は7月ですが、図録を作る関係で個展のほぼ2ヶ月前の5月初旬にカメラマンに撮影をお願いしています。つまり、撮影用に作品を完成させなければならないこの時期が、作品制作のゴールになります。これを7回も続けているので、本来は慣れているはずが、そのつど作品の内容が異なるので、焦りと緊張で撮影日はとても疲れるのです。今日も例外なくヘトヘトでした。朝は工房の野外ステージに全作品を持ち出して撮影をしました。午後天候が不安定と言われていたので、陽射しの眩しい朝を野外撮影にしました。セルフポートレイトも野外に散りばめられた作品の中で撮影しました。その後、工房の室内に作品を移動させて記録用の全体写真や部分写真を撮りました。終わったのが5時をまわっていて、ようやく今年も個展を迎えられる気持ちになりました。梱包はまた次回。スタッフも家内も私も疲れて、これ以上の仕事は出来ませんでした。気心の知れたカメラマンなので、出来上がってくる画像が楽しみです。それを糧にして明日からの仕事を頑張ろうと思います。
個展作品の点検&美術館へ
2012年 5月 5日 土曜日
今日は朝から工房へ行って、「発掘~混在~」を三双屏風に仕立て、「発掘~場~」の印貼りを行いました。さらに自宅脇の倉庫から「発掘~住居~」と「発掘~棟~」を工房に運び入れました。これで7月個展に出品する作品は全て出揃いました。最後の点検と確認で心身ともに疲れ果てました。満足はあるものの有頂天になるには遠く、全体を見渡しても今年の個展はこれで全部かぁと思うくらいでした。毎年こんな面持ちで撮影日を迎えていたんだっけと思い起こしながら、力が次第に抜けていくのを感じていました。午後は気分転換に横浜美術館へ家内と出かけました。シュルレアリスムの画家マックス・エルンストの展覧会を見に行きたいと思っていたので、ちょうど今日は好都合でした。感想は後日改めます。夜、再度工房へ出かけました。夜の照明の中で作品群をもう一度見ました。明日、撮影が始まれば作品は自分の手を離れていきます。それと同時に次なる作品のイメージが頭を過ぎります。脈々と続く造形への思索は来年の個展に向けて歩き出そうとしています。
「混在」「場」の仕上げ作業
2012年 5月 4日 金曜日
今日は朝から工房に篭って、明後日に控えた図録撮影のために「発掘~混在~」と「発掘~場~」の仕上げを行いました。「場」は油性塗料を使って裏面の塗装を行いました。「場」は陶彫部品3点を組み合わせるので、部品に貼る印を新しく作りました。「混在」の方は既に印を用意してあったので、陶彫部品44点に全て印を貼りました。これは陶彫部品を設置する場所と、その部品に同じ番号をつけた印をそれぞれ貼る作業で、これをしておかないと部品が組み立てられなくなるのです。1番の印のついた設置場所に1番の印のついた部品を合わせることで、迷いなく速やかに多くの部品が組み立てられて集合彫刻になっていきます。明後日の撮影では新しい試みとして、部品のない状態の木彫土台を、完成品と同じように撮影していただこうと思っています。部品がない状態の土台も面白いと感じたからです。夕方にはボルトナットを大量に買ってきました。設置に必要なもので、陶彫部品に予めボルト用の穴が開けてあります。ひとつの部品に2つ及び3つの穴があるので44点の部品には100個以上のボルトナットが必要になります。作品の仕上げ作業には、こうした細々としたモノを用意しておかなければならないのです。点検と確認は明日行います。
雨降る益子・笠間散策
2012年 5月 3日 木曜日
栃木県益子の陶器市と茨城県笠間の陶炎祭へ行ってきました。毎年恒例で5月3日を選んでいますが、もう20数年行き続けていて今回初めてどしゃ降りの中の散策になりました。今までも雨に降られたことはありましたが、こんなに激しい雨は経験がありません。とりわけ午前中の益子では、各作家が出展しているテントに横殴りの雨が当たって散策も思うようにできませんでした。そこで今回は趣向を変えて先日ネットで発見した美術館に行くことにしました。陶器市から遠からぬ所にあるワグナー・ナンドール美術館です。実は恥ずかしながらワグナー・ナンドールという彫刻家を自分は知りませんでした。ネットに掲載された作品写真を見て、是非行ってみたいと思ったのです。大雨が幸いしてワグナー・ナンドール美術館を大いに堪能することができました。感想等の詳細は後日書きます。午後は笠間に行き、陶炎祭に毎年出展している親友の佐藤健太・和美夫妻に会いました。作品は相変わらず土の風味を生かしたもので、深みのある美しさが際立っていました。和やかに旧交を温めて帰途につきました。今回は大雨のため夜祭りもなく、夕方5時を回ったら客足も途絶えていました。どうやら陶器の売り上げにもこの天候が響いているらしく、作家の皆さんの残念そうな顔が印象的でした。昨年は震災、今年は大雨、来年こそ千客万来の盛り上がりを願っています。
連休後半のスケジュール
2012年 5月 2日 水曜日
明日から4連休です。生憎の雨ですが、前から予定している栃木県益子の陶器市と茨城県笠間の陶炎祭に明日行ってきます。天候がどうであれ、環境を変えてみるのは創作上の刺激になると思っています。親友に会えるのも楽しみのひとつです。工房スタッフも連れていきます。夜明け前に出発して、帰りは深夜になると思いますが、十分焼き物を堪能してこようと思います。4日と5日は工房で個展出品予定の作品の総仕上げを行います。今回は埋没した空間をテーマにしました。大地に嵌まり込んだ造形で、大地を座標にするならマイナスに向かうカタチを作っています。最終的にどのように見せるかを考えながら仕上げていきたいと思っています。6日はカメラマンが工房に来て作品の撮影をします。図録も作品発表の大切な媒体です。これはカメラマンがデジタル画像によって別の世界観を持ち込んで作品を表現してくれます。自分ひとりで作品を作っている訳ではないことを知らされるワクワクする瞬間です。後半の4連休は充実したものになるはずです。あっという間に過ぎる連休ですが、貴重な時間を大切にしたいと思います。
風薫る5月初め
2012年 5月 1日 火曜日
5月になりました。今日と明日は通常出勤なので、今日は連休に挟まれているものの職場でしっかり仕事をしています。この時期は重要な調査を抱えているので、2日間の出勤はやむを得ないと思っています。5月は風薫る清々しい1ヶ月です。制作が進展する季節でもあります。図録撮影が終われば7月の個展に出品する作品が出揃うことになります。梱包の準備もありますが、来年に向けて新作をイメージしていく時期です。7月の個展の時はもう来年の作品を作り始めているのが自分は常になっていて、その場で来年の作品によるギャラリーでの空間配置を考えてしまうのです。そのイメージを培うのが今月の大きな仕事です。素材も今月中に準備します。来年の作品は木彫による曲面を生かした屏風(レリーフ)と木彫立体でいこうかと思案しているところです。屏風も立体も陶彫部品を木彫の中に組み込むつもりでいます。そこは今年と同じコンセプトです。RECORDは5月に相応しいテーマを考えたいと思います。
「発掘~場~」土台の油絵の具塗装
2012年 4月 30日 月曜日
前半連休の最終日です。朝から工房で制作していました。「発掘~場~」土台の砂マチエールの上に油絵の具を染み込ませる作業を行いました。続いて床に工事用シートを敷いて、その上でドリッピング。ほぼ土台を作る工程を終わらせました。作品が小さめなので、何とか目標としたところまで達成しました。この後、数日置いて乾燥させ、来月4日には仕上げを行います。前半3連休は朝から晩まで制作に全身全霊を注ぎ込みました。後半の連休で作品をじっくり見て点検をしたいと思っていますが、やはり制作は手や身体を動かすだけではなく、思考を巡らせて最終決断をしなければなりません。慌てて作ったものを即刻撮影したり、展覧会に持っていくことは避けたいと思っています。作品は精神の産物と言っても過言ではありません。慌てて作ったことや手間暇を省いたことが作品に表れるのです。逆に淡々として感動もなく作ったとすれば、それも作品に表れてしまいます。作品は自分を写し出す鏡のようなものです。最後ほどがっちり作りこみ、じっくり思索する、この繰り返しで作品が完成の域に達すると思っています。どこまでやれば完成なのか自分では未だに判断できません。時間が許す限り作品を見つめ続けていますが、撮影や搬入の時間がやってきて、見る時間はそこで終了となります。個展会場で作品に時間をかけて見ていると未完成と思わしきところを見つけます。全体のコンセプトはこれで良かったのかと自問自答もします。楽しいけれど苦しいのが創作活動なのです。そんな昔から当たり前に思っていたことを再確認して前半3連休に幕を下ろしました。
「発掘~場~」砂マチエール
2012年 4月 29日 日曜日
連休2日目になりました。今日も朝から工房に行って制作三昧でした。工房での制作を終えたのは昨日と同じ夜10時過ぎになりました。つい10分前に自宅に戻って、このNOTE(ブログ)を書いています。今日は「発掘~場~」の砂マチエール貼りの作業を行いました。何とか土台全面に砂が貼れました。連休の制作目標のひとつをクリアし、今のところは順調にいっています。かなり無理をしていると思いますが、精神が打ち克っているのか不思議に疲れは感じません。明日まで寝ずに作業しても大丈夫な気分ですが、さすがにそれはやめておきます。夜はしっかり就寝するようにします。彫刻は制作に時間がかかることは学生時代より認識していて、一気呵成に作り上げることは無理があるし、長い制作工程に身体がもたなくなるのは十分わかっています。でも今は多少無理して「発掘~場~」を作り上げようとしています。明日も継続です。砂が硬化したら油絵の具を染み込ませる作業に移ります。明日が連休前半の最終日で、土台完成までもっていこうと考えています。
GW初日 「発掘~場~」土台制作開始
2012年 4月 28日 土曜日
ゴールデンウィ-クに入りました。朝から工房に行きました。今日は工房滞在時間最多になりました。朝は8時半ごろから制作を開始しました。終わったのがつい先ほどで夜10時をまわっていました。その間、工房スタッフや家内の送り迎えがあったり、近隣のスポーツ施設に行って1時間ほど水泳をしてきましたが、それを差し引いても今日は長く工房にいました。「発掘~混在~」の仕上げに費やした時間もありますが、一番時間がかかっていたのは「発掘~場~」の土台の制作です。厚板を切断するところから始めました。「混在」に比べれば小さな作品ですが、手間としては同じで、木彫した面に砂マチエールを施していくのです。今日は夜10時までやっても砂マチエールまで到達できず、明日へ持ち越しになりました。5月6日には図録撮影が控えているので、今日は無我夢中でした。工房内の気温は過ごしやすく制作を煮詰めるには絶好の機会です。初日は何とか制作目標達成。明日砂マチエールを終えることができれば目標通りになります。今が頑張り時です。時折水泳をして身体の調整を図りつつ完成に向って精進していこうと思います。
ゴールデンウィーク制作目標
2012年 4月 27日 金曜日
明日からゴールデンウィークが始まります。暦通りの休日で中2日は出勤になりますが、それでも連休が続くのは有難い限りです。まず前半の3連休は「発掘~混在~」の仕上げと「発掘~場~」の土台制作、砂マチエール完成までを目標とします。後半4連休のうち来月3日は恒例の益子・笠間に行ってきます。6日に図録撮影がやってくるので、5日までには今年発表する作品は全て完成させなければなりません。毎年のことですが、楽しくもあり苦しくもあるゴールデンウィークです。日ごろの公務から解放されて、創作活動を通して自分自身を見つめる機会でもあります。貴重な彫刻家としての時間を有意義に過ごしたいと考えます。
リアリズムについて
2012年 4月 26日 木曜日
今読んでいる「芸術の意味」(ハーバート・リード著 瀧口修造訳 みすず書房)の中にリアリズムに関する論述があります。本書54に「(リアリズム)は哲学史上、名目論に対立ばかりでなく、もっと一般的にはある認識論の呼び名となっている。すなわち外界が客観的に実在するという信念をあらわしているのである。」「芸術批評は哲学的な正確さからもっとはるかに遠ざかっている。」「厳密にリアリスティックとよぶことのできる芸術は、すべての手段をつくして対象の正確な外観を描こうとするものでなければならない。」ところどころ本文を抜き出しましたが、本書がリアリズムの定義とするところだと思います。リアリズムとは何かと問われると自分ならどう答えるだろうと考えると、リアリズムを定義する難解さを思わないではいられません。その後に続く本書55以降に具体的な芸術家名を挙げて説明がされていますが、この機会にリアリズムについて考えを深めたいと思います。
対比する造形原理
2012年 4月 25日 水曜日
現在読んでいる「芸術の意味」(ハーバート・リード著 瀧口修造訳 みすず書房)より気になった箇所を取り上げてみようと思います。まず本書32で論じられている有機的な芸術と幾何学的な芸術です。この相対立する類型は対照的な環境によって決定されるとしています。人々は北方や熱帯という厳しい環境では自然から逃避する形式をとり、自然に似ない幾何学的な芸術を求め、逆に温和な海岸や豊穣な土地で暮らす人々は、自然への共感をもって有機的な形式をとるとしています。本書33ではそうした2つの原理が文明の広がりにより混ざりあい、また時代によってどちらかが勝利を得たりして、形式の興亡が繰り返されていることを指摘しています。それは東洋も含めた世界的な視野の中で、さまざまな地域に共通する2つの原理が存在し、それらが融和し、また妥協があるとも述べられています。その観点で言えば現代にも通じるものがあると思えます。自分の創作行為が生まれ育った風土だけではなく、外的な知識や鑑賞によって培われていることを思えば、原始から至る芸術史をもう一度考えておく必要があると思いました。
造形美術のバイブル
2012年 4月 24日 火曜日
「芸術の意味」(ハーバート・リード著 瀧口修造訳 みすず書房)を通勤電車の中で読み耽っています。時代の局面やひとりの芸術家を取り上げたものではなく、古代から現代に至る造形美術を網羅した本書は、自分が20代の頃感じた芸術のバイブルというイメージがあながち間違っていなかったと思っています。今回の再読もいい機会と捉えています。当時理解するには難しかったことが、今では論理全般にわたって分かりやすく感じます。これは自分が30年以上も彫刻に関わり続けた証かもしれません。世界各地の造形美術を、時代やさまざまな観点で論じた本書を携えて、実際に自分の眼で確かめてみたい欲求に駆られますが、それをするには人生が短すぎると感じます。芸術作品の鑑賞には、素朴な感受性の他に知識を学んで初めて感受できるものがあると思います。美術教育の中に鑑賞の分野が取り入れられているのは、そうした知識理解を必要としているからです。「芸術の意味」を読んで、改めて芸術の多面性に触れ、土地が培った文化の豊穣さを知ることができます。また数十年もしたら本書を再々読する機会が訪れるでしょうか。その時まで生き長らえて、多少でも自分が追い求める彫刻に近づいていることが理想です。
筋肉疲労の残る週初め
2012年 4月 23日 月曜日
今朝は筋肉痛が残って通勤に辛さを感じました。これは公務関係の疲労ではありません。新しい職場は次第に慣れてきているので、4月当初のストレスはだいぶ軽減してきました。この筋肉痛は、昨日やっていた作品に油性塗料を塗る作業によるものです。中腰になったり、しゃがんだ時に身体に負担をかけた結果です。自分は無我夢中なので、そんなことに構うことなく、朝から精を出していたのでした。彫刻は肉体労働です。木や石を彫る作業、土を練る作業、金属を切断したり磨く作業は、まさに体力との勝負です。昨日は造形された6つのボックスを塗装する単純作業だったのですが、身体の負担は創造的な行為だろうが単純作業だろうが変わるものではありません。公務に影響しないよう心がけて週末を過ごしたいと思っています。
東京原宿の「Lotus」展
2012年 4月 22日 日曜日
今日の午前中は工房で「発掘~混在~」の色彩の再確認を行って、6つのボックスの側面と裏面に油性塗料で黒い塗装を施しました。作業を午前中で中断し、午後は展覧会を見に東京に行きました。工房に出入りしている若いアーティストの一人が2人展を開催しているのです。場所は原宿のデザインフェスタ・ギャラリー。今日の原宿は大変な人混みで、表参道を人を避けながら歩きました。展覧会名は「Lotus」。工房に出入りしている子は、画布にアクリルで肌理細やかな装飾を配した美少年像を描いていました。彼女は大人になりきらない美少年をテーマに、優雅と残酷が隣り合う耽美な世界を表現しています。ホモセクシュアルな面がありますが、表面に表れてくる印象は薄いベールで覆われた淡い色調の美しい世界です。彼女のさらなる世界観の広がりや追求に期待したいと思います。「Lotus」展は今月28日まで。時間は11:00~20:00。
週末 「混在」色彩の探求
2012年 4月 21日 土曜日
今日は朝から工房に行きました。「発掘~混在~」の6つのボックスが床に横たわる中、先日までドリッピングを繰り返した色彩の面をどのように仕上げていくか検討に入りました、油絵の具を霧状に吹きかけて、やや色彩を抑えた箇所を作りました。それも強弱をつけてみました。常に全体を把握しながら作業を進めました。そこに陶彫部品が設置されるとどうなるのか、陶彫の焼き締めた素材と油絵の具の色彩をどのように融合させるかが大きな課題です。今日はじっくり作品を見つめながら全体と個々の関わりを考えました。作品完成まで一息のところですが、この最後の工程が苦しく、また楽しいのです。いろいろ作業して考えを巡らせたので一応今日はこれで終了します。明日は再検討して、さらに思索を深めます。
2つの歓送迎会
2012年 4月 20日 金曜日
昨年度までいた職場と現在の職場の歓送迎会がちょうど重なってしまいました。現在の職場の歓送迎会に1時間程度いて、その後に昨年度の職場の歓送迎会に向かいました。2つとも横浜駅周辺のホテルだったので、移動にさほど時間がかからず助かりました。昨年度までお世話になっていた職場は大所帯で、おまけに今年度新任が増えたため一気に若返った感じを持ちました。大所帯のパワーに圧倒されてしまいました。20代の人たちが幹事をやっていて、エールにも覇気がありました。元気をもらって、明日から現在の職場で頑張ろうという気が起こりました。その後、気の合う人と二次会に行き、夜更けに帰宅しました。